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平安神宮(へいあんじんぐう) 朝堂院を模した流麗な建物

平安京 最初と最後の天皇を祀る平安遷都千百年の年に創建の平安神宮

平安京は794年(延暦13)から1869年(明治2)の東京遷都までつづいた。日本の都のなかで最も永く繁栄した都であった。しかし、天皇や公卿らが東京に移ると、京都は衰退の兆しをみせる。そこで考えられたのが京都市民共通の祭神として平安京の建設者であった桓武天皇を祀る平安神宮の建立であった。1895年(明治28)の平安遷都千百年の年に創建、さらに1940年(昭和15)平安京最後の孝明天皇も合祀された。

三条通から神宮道を北に上がると、まず高さ約24m、柱の直径は3m強の朱塗りの巨大な鳥居が目に入る。この大鳥居をくぐり、正面に碧瓦に朱塗りの柱が華やかな応天門をみて、広々とした境内に入ると、その先に、碧瓦と朱色の大極殿、東の蒼龍楼、西の白虎楼が、ゆったりと横列している。
この景色は、やはり平安朝の流麗さというべきである。これらの建物は平安京政庁の中心的建物朝堂院を模して、8分の5のスケールで造られたものである。

平安神宮4つの神苑

白虎楼の北に神苑の入口がある。この神苑は社殿を背後から取り囲むようにして、右回りに南西中東の4つの庭からなり、約1万坪におよぶ日本庭園である。

南神苑は八重紅枝垂桜の名所であるとともに、平安時代庭園の特色である野筋(入り組んだ細道) と遣水(流れ込む小川)が設けられ、また「平安の苑」は『源氏物語』や『枕草子』といった平安時代の書物に登場する草木が植えられて、その作品の一節とともに観賞することができる。

南神苑の樹林を抜けると白虎池のある西神苑へとつながる。この池畔には花菖蒲が群生し、中神苑の蒼龍池には周囲に約千株のカキツバタが植栽され、池の水面にはスイレンが浮かんでいる。ここにある「臥龍橋」とよばれる飛び石はかつての三条大橋と五条大橋の橋脚が用いられたものだ。

さらに東へと歩くと、東山を借景にして、尚美館、泰平閣の姿を水面に映す栖鳳池がみえる。池には中国の伝説の仙郷「蓬莱山」をあらわしたという「鶴島」と「亀島」を造る。
泰平閣とよぶ橋廊を渡り、そこから東、また西方向を眺めると、それぞれに異なった表情をみせ、とくに春には鏡のように静かな水面に桜花がいっせいにそのあでやかな姿を映すのである。桜の名所として京都の春を代表るのが、ここ平安神宮である。

京都市左京区岡崎西天王町97
075(761)0221
6時~18時(時期により変動あり) 境内参拝自由
神苑は8時30分~17時30分(時期により変動あり)600円
http://www.heianjingu.or.jp/
京都駅より市バス5系統京都会館・美術館前下車1分

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