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嵐山・嵯峨野周辺の散策
嵯峨野 は京都でも、最も京都らしいところである。
山の姿を映す池の畔りの桜並木、野末にそびえる愛宕山、邊かにお寺の屋根も見える。
絵に描いたような風景と云う言葉がここ嵯峨野にはふさわしいかもしれません。
決してこのような表現がオーバーではないのが、嵯峨野です。
近年の京都ブームで訪れる人は必ずの様にここへこられるようです。
嵯峨野を見て歩くには、早く回ることには余り意味がありません。
嵯峨野というところのムードを味わうのであれば、なるべく時間をかけて歩いていただきたいですね。どことどこを見た、と場所の数を増やすだけでは無意味 で、ノンビリ、ゆっくり、四季折々訪れた季節の嵯峨野を、スローにおもいきりいい空気を吸っていただきたい。
そうすることにより、その風景の中を自らが、歩いている1人の旅人として画中の点景になっていることに気付いて驚く。
広沢池から大沢池へかけての野道のあぜみちは、まだこんな気分が残っている。
秋には草花が咲き乱れる畦道にツルリンドウの可憐な1本を見つけ出して、思わず声をあげるのも、嵯峨野ならではのことだ。
大覚寺周辺には今も嵯峨野の面影が生きている。
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一方、小倉山の麓の一帯、天龍寺から鳥居本にかけては、嵯峨の"里"が残されていて、「哀しみの里」の跡が求められるではないでしょうか。
この里に名を留める人々は、みんな人の世の運命の波にもて遊ばれ、せめてもの救いを求めてこの地に隠れ住んだ人ばかりである。
「うきふしや竹の子となる人の果て(芭蕉)」。の句にもあるように、一木一草すべてに古人の涙がにじんでいるようだ。
嵯峨野には、いわゆる国宝、重要文化財というような物は少ない。
近年、京都を訪れる観光客は、東山の清水寺についで嵯峨野を訪ねている。
嵯峨野にはそれだけの観光客を引き付ける魅力がいっぱいである。
その魅力は、風景の美しさと歴史の歯車からこぼれ落ちたさまざまの悲しい物語が織りなすところにあるといえかもしれない。
始めに嵯峨野はゆっくり見てくださいといいましたが、でもお忙しい現在時間がなくて、どうしても急がねばならない方がほとんどでしょう。
その時は、嵐山と世界文化遺産の天龍寺、または大覚寺と大沢池のいずれかにポイントをおいて見物し、あとは、その周辺を時間の許すかぎり歩いてみることを お薦めいたします。
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天龍寺の庭園を見たあと、再び京福電車の嵐山駅の前に出て、ここを左(北)へと進むのが野宮(ののみや)へのルート。
野宮へは嵐山駅前から北に進み最初の、石標などが立っている左に入る道をとる。左をとらずに直進すれば、清涼寺に突き当たる。
左に曲がって、竹藪の中を行く。この竹藪は、かつては野宮竹と呼ばれて知られていたが、今は枯れて無惨な姿をさらしている。
野宮から、山陰本線の踏切を渡らずに野宮の左側の竹藪の間のつま先あがりの道をたどると、亀山公園から来る道と出合うが、このT字路のところが大河内山 荘。
内部の庭園からの眺めがよいが、入園料400円が必要。山荘(T字路)を右に曲がって山陰本線のトンネルの入口の上を行くと、東に比叡山が望まれる。
常寂光寺は、紅葉のトンネルの下のかわいい朱塗りの山門が印象的。山腹にある多宝塔付近からの展望もよい。
常寂光寺を出てまっすぐ東に進むと、左前方に落 柿舎の木立が見える。
わら葺き屋根をおおう柿の木立の下にあるバショウの葉の色があたたかく目に入るだろう。
落柿舎の壁に掛ったみのと笠は、この屋の主の風流を象徴しているようだ。
落柿舎の西隣りの陵墓は、女流漢詩人として有名な嵯峨天皇の皇女有智子内親王のものである。
落柿舎の主の向井去来の墓の入口に「秋風に吹き残されて墳一つ」(瓢斎)の句碑が立っている。
去来の墓は30センチぐらいの自然石に「去来」と彫ってあるだけの小さなもので「凡そ天下に去来ほどの小さき墓に詣りけり」(虚子)という句が実感として 身に迫ってくるだろう。
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二尊院
二尊院 は城門風のいかめしい総門と、正面をさえぎる土塀までの並木の参道の風景が印象的である。桜の馬場、紅葉の馬場と呼ばれ、緑の小倉山を背景に春秋それぞれ に美しく粧いを変える。
本堂背後の高台に、角倉了以・素庵父子、伊藤仁斎・東涯父子などの墓もあり、三帝陵(後奈良・土御門(つちみかど)・嵯峨)と伝えられる3つの石塔も見事 なものである。
舐王寺
わら葺きのささやかな草庵と数本のカエデの木立のある苔の庭をもつ舐王寺は竹藪の中にある。作家の川口松太郎が"祇王寺桜"と名付けた桜の大木は、カエデ の梢の上に花を咲かせるので、花びらが散ってはじめてその存在を知らせるという。
平清盛に捨てられ、悲しみの中に極楽往生を願ったという祇王・祇女姉妹の隠れ家にふさわしい雰囲気だ。
祇王寺のすぐ上に、同じ平家物語の伝える、滝口入道と横笛の恋で知られる滝ロ寺がある。
又、そのすぐ先に化野念仏寺がある。
念仏寺は古くからの葬送の地として知られる化野の墓守り寺として、平安時代の頃からあったようだ。
参道の左手にある2体の石仏は薬師如来と阿弥陀如来で、鎌倉期のりっぱなものである。
小さな門をくぐった中は賽の河原と呼ばれ、約8000の小さな石仏、 石塔が中央の十三重石塔を囲んで整然と並んでいる。
その姿は釈迦の説法を聞く無数の衆生のさまを思わせるものがある。
わら葺きの本堂の背後の竹藪も美し く、その中に角倉素庵の墓がある(二尊院のものは分骨を収めたもの)。
春と秋の彼岸の中日、8月24日の地蔵盆、9月の第2日曜の虫供養の日の日没時には 千灯供養が営まれ、石仏、石塔に無数のローソクが灯され、夢幻境が繰りひろげられる。
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大覚寺から大沢池
大覚寺 は嵯峨御所とも呼ばれるだけあって、貴族的なムードが漂っている。
狩野山楽筆の豪華な襖絵は桃山時代の美術を代表するもので、宝物館に展示されている。五大堂の広縁から眺める大沢池は、中国の洞庭湖になぞられたといわれ るだけに、広々とした風景を展開して、嵯峨天皇の中国趣味を満足させ た、といういい伝えもうなずかせる。
大覚寺を出て大沢池を一巡すると、北西隅の護摩堂横の鎌倉期の石仏群、池の北側にあるグランド風の広場の一角に位置する名古曽の滝の石組みの跡、天神島に ある嵯峨天皇が弘法大師空海にあたえた漢詩の詩碑、などが見られる。
直指庵へは、大沢池の西側、五社明神の横の道を北へ進み、家並を抜けて竹藪に沿って行くとある。竹藪の中の草庵は捨て難いムードはある。
何もない、といってつまらなそうな顔をして帰って行く人もあるが、ここは本来、物を見る場所ではなく竹藪の空気、雰囲気を味わうところなのである。
直指庵から竹藪のはずれの十字路まで戻り、東(左)へ行くと、後宇多天皇陵を経て広沢池に出る。これは山沿いの道で、右手に嵯峨野を眺めて歩くことにな る。
前述の、後宇多天皇陵の手前で右折して田んぼの中を行く道は、広沢池の西南隅にある児社(ちごのやしろ)の前に出る道である。これは昔からの道らしく、石 の道標が途中の畦道に何本も立っている。この付近一帯は古都保存法で保護されていて、広々とした田畑の広がりが維持されているのは嬉しい。
広沢池はその北にある朝原山(遍照寺山)のこんもりと丸い姿をうつし、嵯峨野の東の要となっている。この池の畔りの桜並木は毎年美しい花を咲かせている。
池の南岸の道路を東に進むと、造園業者の植木畑の間へ入る。
りっぱな庭石、見事なしだれ桜などを見ながら歩くのも楽しい。ただこの道は嵐山と仁和寺、竜安寺、金閣寺を結ぶ京都随一の観光道路であるため、車の往来が 多いのが唯一の欠点である。山越の市営バス停留所は近い。
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